敬称略雑記けいしょうりゃくざっき

狡知 05 「夜明け」

dawned on me

北尾修一の覚悟

小山田圭吾の炎上、そこに変化が訪れるのは7月の末辺りだったろうか、北尾修一による「いじめ紀行を再読して考えたこと」という連載記事である。 当然、小山田圭吾に対するバッシングは続いており、北尾修一が自身の記事でも言っていたか、擁護などすれば火の粉が降りかかる事は目に見えているようなタイミングだった。 ウンコバックドロップの訂正もおぼつかないような状況であり、まさに炎上の渦中である。 ウンコバックドロップ(デマです)に巻き込まれかねない危険を冒してまで疑義を唱えた北尾修一の覚悟は評価したい。

「いじめ紀行を再読して考えたこと」

この記事は3篇から編成されていた。 当時、数日の間隔を開け、段階的に公開されたように思う。 現在は残念ながら有料記事になっており、読もうと思えば読めるが、という状態だ。 私自身は無料記事の方を読んでいて、有料化した後の物は一切読んでいない。 北尾修一に金を払うのが癪に障るだけです。他意はない。

この記事自体は、小山田圭吾いじめ問題においてソースのひとつとして扱われるQJの記事が作られた当時の様子を、当事者(小山田と記事担当編集)と近い所にいた北尾修一が述懐する物だ。 途中、当時のQJ誌面スキャンも添付されていた。 私を含め、ここで初めて大元のソースである誌面を読んだという人も多かったのではないだろうか。 いじめを無くしたいという思いから記事は書かれた、当時の編集には若さゆえの未熟があった、小山田圭吾といじめ被害者の間には友情があった、その友情を隠すように恣意的な切り貼りを行ったブログがある、大雑把にまとめればそんな事が書いてあった。

ウンコバックドロップに問う人道

小山田圭吾問題の中で間接的に問われていたのは、「小山田圭吾は結局クズなのか?」という点ではないだろうか。 ウンコバックドロップ(デマです)がどうと騒いだ所で、そもそもウン十年前の話であり、あらゆる証明というものが困難なのである。 かといって、疑わしきは罰せずという言葉で割り切れるかというと、正直抵抗がある。

まあ、そういった世間の問いに対し、少なくとも極悪人ではないかもしらんな程度の春風が吹いた瞬間であった。 実際、この記事に勇気づけられた小山田圭吾ファンも多かったのではないだろうか。 小山田圭吾擁護における強力な武器であった。 私から見た一連の小山田圭吾擁護運動は、ここから始まったように見える。 それ以前からあったのかもしれないが、私にとってそれは水面下、可視化されていなかった。

小山田圭吾擁護運動における夜明け、そんな印象は今も変わらない。

その破壊力

で、この記事を読んで、自分の感性とのギャップに、…やめておこう。

あえて忌憚なく言わせてもらえば、顔を歪ませながら読んでいたように思う。 隠しきれない腐臭が残るソフトクリームとでも言うべき読後感は未だ鮮明だ。 生理的に受け付けない文章という表現も珍しいだろうが、私にとってはそういう類のものだった。

「友情あればすべてよし」

関連する全てを雑に片付けながら押し付けられたそれは、当時の私にとって、唾棄すべき物の頂点にあった。

あれを読んで、小山田圭吾は悪くなかったと意見を変える人がいるという事実が信じられなかった。 曰く、実は友情があった、障がい者を無視せず対等に扱っていた、いい話… この記事で「小山田圭吾に対する見方が(良い方向へ)変わった」と言う人々がそれは溢れていた。 それはそれで尊重するべきだろう。 あのウンコバックドロップ(デマです)は北尾修一の魔の手にかかり感動ポルノへと堕落していた。 まあそれはいい。

違和感

ただの感動ポルノがなぜこうも鼻につくのか。 確かによろしくないやり方があるにはある、が、それほどの物だろうか。 疑問を持ちながら再び読み進めるにつれ、やばい、動悸が早 …やめておこう。

それが確信に変わるのに、そう長い時間はかからなかった。

7月の終わり、私は小山田がどうとかをほぼ完全に超越し、「反北尾修一」であった。

なんじゃそりゃ


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